平安京のコスモロジー
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2008年11月30日、京都大学こころの未来研究センターの研究プロジェクトとして、京都大学の芝蘭会館にてシンポジウム「平安京のコスモロジー」が開催されました。

企画は同研究センター教授の鎌田東二先生。

遙か千年、永らく日本の首都であり続けた京の都…その絶えることのない活力の秘密を「コスモロジー」(世界観・宇宙観)という言葉に託し、物質、文化社会の側面だけではなく精神的、霊的な側面をも含めて明らかにしてゆこうとする、たいへん意欲的な試みでした。

講演者は順に、岡野玲子、写真家・民俗学者の内藤正敏先生、臨床心理学者の河合俊雄先生、地球科学・地質学者の原田憲一先生、平安京文化研究者の鳥居本幸代先生、建築史・茶室研究者の中村利則先生、そしてアーティストの関本徹夫さん。

皆さんは「笛吹き東二」と異名をとる鎌田先生の笛の音にいざなわれて登壇、それぞれの専門分野から自在に切り込んだ平安京の都市研究報告が第一部で行われ、質疑応答を含めた活発なディスカッションが第二部で展開されました。


このとき、岡野玲子は基調講演のトップバッターとしてお話をさせていただきました。

演題は「陰陽師から見た平安京」。

作品『陰陽師』は十二巻目で最終話
さんごくそうでんいんようかんかつほきないでんきんうぎょくとりょくぎょくひぶん
に突入しました。それまでの各巻にひそんでいた数々のエレメントが、道満法師の上陸、到来とともに一挙に物語の表層へとうかびあがります。 晴明の生命を惜しまぬ献身のなか、遂に都はその秘密を露わにするのです。

それは12年にも及ぶ『陰陽師』執筆の道程のなか、導かれたように作家の前にあらわれた新たなる平安京の姿でもありました。

巻十三で物語は完結を遂げましたが、それから3年を経たこの講演で、京の条里に託された数理の精妙な美とその目的を改めて皆さんにご報告することができました。


このシンポジウムは定員わずか200人、申し込みは定員をかなり上回ったため、参加できなかったかたも多数おられましたが、このたびその全容が書籍にまとまりました。

岡野の講演内容も更に吟味し筆を加え、当日用いた図版は余さず収録し、作品『陰陽師』で描いてきた平安京の姿を、物語とはまた違った方法で伝えるものとなっています。

また、各講演者の報告内容はもちろんの事、二部でおこなわれたディスカッションの内容もすべて収録され、更にはシンポジウムの成果をふまえて書きおろされた鎌田東二先生の論文が新たに加わった、たいへん読み応えのある内容となっています。

どうかぜひ、ご一読ください!